水辺の写真家・武田晋一のホームページ 『水の贈り物』 と合わせてご覧ください。
自然写真家とスタジオ撮影
 自然写真家、といっても時にはスタジオで写真を撮らなければならないことがある。たとえば、ある種の生き物の産卵のシーンや昆虫の脱皮や羽化や卵の孵化の様子など自然条件下では撮影が難しいシーンの場合は、スタジオ内に自然を再現し、人工的な条件下で写真を撮る場合がある。
 中にはそれをやらせだ、という人もおられるが、そうではない。スタジオ撮影は、科学の研究で言うなら実験室内での研究のようなものだと考えてもらえばいいと思う。生き物の研究や撮影には、実験室でなければできない厳密な世界があるのだ。

 そして僕の場合は水辺をテーマにしているので、被写体の中に水中の生き物が含まれるが、水中の生き物の撮影の場合は、スタジオ内に水槽を設置することになる。
 ところが水槽は場所を取るし、サイズによっては手軽に移動させることができないので、複数の仕事が重なった場合に、その水槽をちょいとどこかに避難をさせ、別の仕事をこなすというようなやり繰りが難しい。だからもしも、魚の卵が産み落とされてから孵化をするまでの過程を撮影したいのなら、その間の数日間は、スタジオが他の撮影に使えなくなってしまう。
 そこでこの2月、床がひどく傷んでいた事務所の建物を改築するついでに、新たに1つ撮影スタジオを増設することになったので、新しいスタジオをここでお披露目しておこうと思う。


NikonD700 SIGMA15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE SILKYPIX

 まずは、これまで使用してきたスタジオ。
 一番奥が、大型の照明器具が設置してある撮影スペースだが、その手前に並んでいる水槽も撮影用。
 一番手前の水槽には泥が敷かれており、田んぼや沼の生き物を撮影する。その奥の水槽には岩が投げ込まれており、岩がゴロゴロした清流的な環境に生息する生き物の撮影に使う。。一番奥の水槽には水草が植えられていて、背景を水草の緑色にしたい時に使う。

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NikonD700 SIGMA15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE SILKYPIX

 そしてこちらが新しいスタジオ。
 スタジオの手前半分は機材置き場になっている。
 部屋の幅がもうちょっと広ければ、幅270センチの背景紙を置くことができるので人物の撮影にも対応できるのだが・・・。そう言えば昨年、学校教材の仕事で、椅子に座った男性が足を上げ下げするシーンを撮影したのだが、スペースの関係でスタジオでは撮影ができず、幅270センチの背景紙を駐車場に広げて撮影したことがあり、その際には光の状態や天候などに大変に頭を悩まされた。
 が、贅沢を言えばきりがない。
 今回新しく作ったスタジオの場合、180センチの背景紙なら設置することができる。

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切り抜き写真とは
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 まだ学生時代に、
「僕もプロの自然写真家になりたいのです!」
 と初めて昆虫写真家の海野和男先生の事務所を訪ねた日、先生は電話を片手に、ファックスと格闘中だった。
 電話の相手は出版社の人で、話の中身は、
「テントウムシの切抜きができる写真を貸して欲しい。」
 という写真の貸し出しの依頼。
 当時は電子メールなどという便利なものがなかったので、先生は、
「この写真でどうですか?」
 と紙に印刷された写真をコピーし、ファックスで送ろうとしておられた。
 が、ファックスでは写真が黒くつぶれてしまい、相手はなかなか判断できない様子だった。

 僕の場合も、
「切抜きができる写真を貸してください。」
 という依頼は結構多い。
 切抜きとは、写真の中から主要な被写体の部分だけをまるでハサミで切り抜くかのように取り出すこと。
 確か、その時海野先生が相手に見せようと試みていた写真は、比較的シンプルな葉っぱの上にテントウムシがよく見えるように止まった写真で、確かに、テントウムシの部分だけを切抜きができそうな写真だったように記憶している。
  

 一般的に、切り抜き用に一番いいのは、白の背景の上に被写体をおいて撮影した白バックと呼ばれる写真で、僕は毎年数え切れないくらいたくさんの白バック写真を撮る。
 最近は白バック写真には、ニコンのD3を使うことが多い。
 厳密に比較をしたわけではないのだが、キヤノンのEOS5Dよりも、白バック写真はD3の方が好結果が得られることが多いような気がするのである。
 いずれ暇な時にでも、それを検証してみようと思う。

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今森光彦さんのインタビュー記事
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 ちょっと前の週刊文春に掲載された、今森光彦さんのインタビューがとても興味深かった。今森さんは夜型で、朝が弱く、早朝の撮影がとても辛いのだそうだ。それを、自然写真家としては珍しいこと、と語っておられた。 
 そう言えば、今森さんの優れた自然風景の写真には、早朝よりも、夕刻のものが多いように思う。
 僕は今金魚の世話をするために、まだ薄暗いうちから仕事を始めるが、そうすると、夕刻にはすでにクタクタ。今朝は一仕事を終え、そろそろ昼が近いかなと時計を見たら、まだ7時。
 

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生き物の写真は表情が命
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 僕に限らず、大半の自然写真家は、自然のプロではあっても写真に関してはど素人。写真撮影の基礎を、ちゃんと勉強したことがない人が多い。
 だから僕は、ある時一度しっかりと写真を学ぼうと、コマーシャルカメラマンのもとをたずねた。
 だが、写真を見てもらったら、
「これはこれでいいんじゃなの?」
 という思いがけない答え。
「生き物の写真って、写真の技術よりも表情が命でしょう?」
 と。
 
 さて、白い容器の中で金魚の写真を撮った。
 金魚は、まだ寒い時期に購入したものだが、その時は、水温が低かったせいで金魚の動きが悪く、表情だって冴えなかった。
 だが暖かくなった今度は、見違えるような写真が撮れた。
 ちょっと大き目の魚だったから、水槽が大きくて、それに伴い照明の数もいつもの倍。たかがスタジオ撮影が大変に大掛かりになった。
 水が入った巨大な水槽は気軽に動かすことができないし、その間はスタジオが使えなくなるから、他の撮影がすべてストップ。
 数匹の金魚の撮影がすべて終わり、水槽を所定の位置に戻すと、何だかホッとした。
 魚の大きさに合わせて水槽を購入してきた結果、水を抜いた状態で待機している水槽が一つずつ増え、ふと水槽の数を数えてみると、いつの間にか10個を超えていた。

 

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7/1の取材現場から
金魚食べる

 僕が生まれて初めて繁殖させた1腹目の金魚の稚魚は、飼い方が悪かったため病気が発生し全滅。
 2腹目は、今でも元気に育っているが、飼育に追われて撮影ができなかった。撮影のための飼育なのに、本末転倒だ。
 今日は、今年3腹目の金魚の稚魚たちを撮影。3腹目は、絶対に失敗は許されない。飼育は思った以上に重労働なので、今年でスパッと撮影を終わらせなければならない。
 
屋上

 金魚が大きくなるのに合わせて、稚魚を大きな入れ物に移さなければならない。
 だが、事務所の周辺には、もう置き場がない。
 そこで、自宅の屋上にも180リットルの容器を2つ設置。容器と酸素を送る大型のポンプと水道水から塩素を取り除く浄水器で結構な出費。
 金魚は、何冊か本を作らなければ、元が取れそうもない。
 あまり好きな言葉ではないが、気合しかない。

ろ過装置

 餌を与えすぎると魚は調子を崩すし、水換えが多すぎても同様。魚を飼育する際には、ほどほどを守らなければならないが、唯一、ろ過装置だけは、いくら手厚くても手厚すぎることはない。
 そこで、市販の安い投げ込み式のろ過装置から綿を取り出し、代わりに、バクテリアが多く住み着くことができるちょっと上等なろ材を入れてみた。
 飼育容器が増えると、周辺の道具も増やさなければならないから、なるべく安上がりになるようにて、いろいろと工夫を施す。
 

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