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金魚の尾形
 僕は、人が自然や生き物に手を加えることは、本来あまり好きではない。だから、人が手を加えた生き物の代表格である金魚を、「おぞましい!そこまでするか。」とむしろ嫌いだったのだが、写真撮影の仕事がきっかけで金魚に興味を感じるようになったことは、以前にも書いたことがある。
 では、金魚のどこに興味を持ったのか?というと、遺伝の不思議だった。
 ところが実際に金魚を飼育してみると、飼育の仕方によっても金魚の形が違ってくる。つまり、遺伝以外の要素もある。
 多少なりとも生物学を学んだ者にとって、ある生き物の形が遺伝によって決まるのか、それとも生まれた後の環境によって決まるのかは、大変に重要なこと。僕は益々、金魚の世界に強い興味を感じるようになった。
 今年は、金魚を飼い始めて2年目になるが、何となくではあるが、なるほどなぁ・・・と腑に落ちるようになっていた。
 金魚の形の基本は、まず遺伝によって決まる。そして、その遺伝によって決まっているものが、飼育環境によって、ある幅の中で変化する。
 どうも、そんな感じで、金魚の造形が決まるようだ。

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 さて、今日の画像はすべて同じ親から生まれた子供。
 一番上の魚は、尾の開きがいい。
 真ん中は、尾の開きが悪く、こうした魚ははねることになる。
 一番下は、フナ尾と言って、フナのような尾っぽをした魚。フナ尾の魚もはねられる。
 同じ親から生まれた子供を分け、違った環境で飼育してみると、尾の開きは、飼育環境によって随分変化することがわかる。飼育環境が良ければ、ことごとく、見事に尾が開いた魚になる。
 
 僕は写真を撮るために、本来金魚の飼育ではまず考えられないような魚の飼い方をすることがある。するとその中に、見事な魚ばかりが育ってきた容器があったことには驚かされた。
 具体的には、生まれて間もない稚魚の場合、魚の密度が同じなら、容器は小さい方がいい。もちろん、小さいと言っても限度があるが、ある広さの容器に金魚の稚魚を10匹入れる方が、その倍の広さの容器に20匹入れるよりも、稚魚たちはよく成長する。
 つまり、稚魚をまとめて1つの容器で飼うのではなく、小分けにする。
 容器が大きいと、1つの容器の中にさまざまな環境ができる。したがって、魚たちの成長にばらつきが生じる。
 また、大きな容器の中に多くの魚を入れた場合、魚が容器の一部で群れると、そこでは魚の密度が高くなり、容器全体を平均した魚の密度はさほと高くなくても、部分的に過密になってしまう。
 実は、これは それはカタツムリの子供たちを、均一に、なるべく早く大きくさせる方法と基本的な考え方が同じだ。
 来シーズンは、小さな容器をずらりと並べ、稚魚を飼育してみるか!
 生き物って面白いなぁ。

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金魚の人工授精
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 フナを品種改良したら金魚になったなんて、僕は、今でも信じられない気分である。あの地味なフナから、前回紹介したようなゴージャスな魚が作られたのだ。
 金魚は、人が飼育をしながら品種改良を加えてきた生き物だから、飼育の歴史は長いし、本来は、野生の生き物よりも扱いやすいはずだ。 
 ところが、その金魚の撮影にひどく手間取っているのは、金魚の世界では逆にさまざまなテクニックが発達し、そのテクニックの習得に時間がかかったから。
 たとえば、金魚の繁殖の際には、当り前のように人工授精が行われる。
 が、一歩間違えて、まだ卵が未成熟な状態で人工授精に踏み切ってしまうと、卵は正常に育ってはくれない。
 今年は、5月の上旬に採卵をした際に、まさにその失敗をやらかしてしまった。
 人工授精を試みたメスのお腹から出てきた卵は、よく見ると、人のヘモグロビンのように真中がくぼんでおり、まだ未成熟だった。
 ところが、その数千個の未成熟な卵の中から、数匹ではあるが、稚魚が生まれた。
 捨てる神あれば、拾う神あり。
 が、その稚魚を先日撮影してみたら、体がくの字型に曲がっており、奇形のようだ。
 やっぱり駄目か・・・

 そんなこんなで、何かを試みては途中で失敗が判明し、またやり直すことを繰り替えているのである。
 ただ、もう一通りの失敗は出尽くしたのではないだろうか?
 いやいや、そうであってほしい。

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平賀養魚場産 更紗琉金
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 僕は野生の生き物が好きだから、作り上げた生き物である金魚にはもともと全く興味がなく、むしろ嫌ってさえいた。
 だが、金魚の撮影の仕事を依頼され、金魚について調べ、そしてカメラを向けるうちに、次第に興味が湧いてきた。今では、老人になり自然写真家として仕事ができなくなった時は、金魚を趣味にしようかとさえ思う。
 決定的なきっかけは、有名な木村養魚場の、1匹の見事な魚だった。それから、平賀養魚場の魚も好きだ。
 ただ、金魚の世界でみなが熱をあげるコンテストには全く興味がない。それよりも、どうせ金魚を育てるのなら販売してみたいと思う。写真も、僕は何かのコンテストに入賞したり、賞を撮るよりも、売りたい気持ちが強い。
 コンテストは、どちらかというとアマチュアの世界の頂点であり、もちろんそこからプロへの道が開けることもあるが、僕は根っからのプロの世界・職人の世界が好きなのだ。 

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テントウムシの蛹化
一応写真は撮れたが、再度チャンレンジ

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NikonD3X AF-S VR Micro-Nikkor ED 105mm F2.8G(IF)

 テントウムシの幼虫がさなぎになる過程を撮影するためにカメラをセットしたのは、昨日の昼間。そして、そのシーンが撮影できたのは、今日の昼間。
 なんと、24時間も撮影に時間がかかってしまった。

 野外でテントウムシのさなぎを見かける場所は、葉っぱの上などが多いように思う。だからテントウムシは、普通は葉の裏側ではなくて、上でさなぎになるのではないかと思う。
 だから、今回僕が撮影した葉っぱの裏側のシーンは、やや典型的ではないシーンになるだろうと思う。
 とは言え葉っぱの裏側でテントウムシのさなぎを見かけることもないわけではないし、それが葉っぱの上なのか裏なのかは、大した問題ではないような気もする。
 が、出版の場合は何事も葉っぱの上が好まれる傾向にあり、極端な場合、例えば葉っぱの裏側にくっついているかたつむりの写真を上下さかさまにして本に掲載するようなことさあるから、幼虫がさなぎになる様子に関しては、撮影をやり直し、葉っぱの上のシーンを撮影しておこうと思う。
 今回の撮影でだいたい要領はわかったし、次は3~4時間もあれば、十分に撮影できるだろう。

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画像の整理
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 12月中旬に上京することになった。
 その際に金魚の写真を見てもらうために、ここ数日はパソコンの前に座りっぱなし。金魚は、自分で繁殖をさせ、数千匹の稚魚を飼育しながらの忙しい撮影だったため、撮影した画像のほとんどが未整理なのだ。

 さて、今日の画像は、今年の5月に撮影した金魚の卵。
 動物の受精卵は1つの細胞だが、それが細胞分裂によって増えながら生き物の形になっていく。
 卵の段階での細胞分裂のことを、ただの細胞分裂ではなくて、特に卵割という。
 そして卵割には幾つかの種類があり、魚の仲間は盤割というタイプに分類されることは、高校時代の生物の時間に教わったのだが、確かに金魚の卵の中の様子を見ると、生物の教科書に描いてあった盤割の図によく似ている。
 丸い卵の中の下半分は稚魚のための栄養分。
 一方上半分は、やがて稚魚の体へと変化するのだが、今の段階ではまだ細胞の数が少なく、今日の画像では、14個くらいの細胞が見えている。
 詳しくは、高校の生物の教科書をご覧ください。
 そんな知識があったところで、特に何の役にも立たないのだが、自分が子供の頃に学習したことが何だったのかを後ででも知ることには、それなりの意義があるような気がする。 

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