水辺の写真家・武田晋一のホームページ 『水の贈り物』 と合わせてご覧ください。
新しい機材
プルーフ-正面

プルーフ-背面

 一般的に、カメラは高画質なものほど取り扱いが難しくなり、サイズも大きくなる。
 だから、風景のように逃げないものを撮る場合には、多少取り扱いが難しくても高画質なカメラが好まれ、逆に昆虫のように急いで撮らなければ逃げる相手の場合は、画質は落ちても、操作性の良いカメラが好まれる傾向にある。
 だが僕は、それでも高画質なカメラにこだわっている。
 操作性に関しては訓練をすればいいのだし、カメラの大きさや重さに関しては、今はまだ体力も十分にあるのだから、ちょっと頑張ればいい。
 だが、高画質なカメラでは絶対に撮れない被写体があるのなら、その時はカメラの画質にこだわるつもりはない。
 たとえば、水深7センチ程度の浅い水中を、高画質なカメラで撮ることは不可能だ。なぜなら、カメラが大きくて、そんな浅い場所には沈まないのだから。
 がしかし、コンパクトタイプのカメラなら、その程度の水深の場所でも沈めることができるし、写真が撮れる。
 そこで、浅い水辺専用の撮影機材を注文していたのだが、昨日それが届いた。

 さて、特殊な撮影機材は、人には見せない方が、僕にとって得だと思う。なぜなら、機材を見せれば、何が肝心なのかが人に知られてしまうから。
 たとえば今回の機材なら、カメラの側面に三脚を取り付けるためのネジがあるが、なぜそんなところにネジがあるのかと言えば、カメラを地面スレスレに構えるためだ。普通のカメラのように、カメラの下に三脚を取り付ける穴があると、少なくとも三脚の大きさの分は、目線が高くなってしまう。が、それが横にあれば、上手に三脚を使えば、地面ギリギリにカメラを構えつつ、そのカメラをしっかりと三脚で固定できる。
 が、そう思ってはいるものの、今回の機材は極めつけにできが良く、嬉しさを抑えきれなくなったので、こうして紹介してみることにした。もう、あり得んと言うくらいに完成度が高いのである。
 これを作った人に関しても教えたくはないのだが、これだけの技術の持ち主を隠しておくわけにはいかないだろう。

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新しい本
アシナガバチ

カタツムリ

 旺文社から新しい本が発売される。本は全5巻。『ぼくたち親子だよ』というシリーズで、1巻がダンゴムシ、2巻がアシナガバチ、3巻がカタツムリで、4巻がアメリカザリガニ。そして5巻目がアマガエルだ。
 1巻と2巻は昆虫写真家の新開孝さんが撮影し、僕は残りの巻の写真撮影を担当した。文章は3人の作家さんが書いた。

 僕は今、幼児向けの本の仕事を数多くこなしているが、幼児向けに限ると、何か特定の生き物の生き方を紹介するものよりも、いろいろな生き物の面白い特徴をまとめたものが多いように思う。
 つまり、広く浅くの傾向にある。
 幼児向けなのだから、それでいいような気もする。だが、たとえ幼児向けであっても、逆であって欲しいような気もする。なぜなら、生き物を理解する際の基本は、まず最初に、種類ごとにその生き方を知ることだと思うから。
 一方で、何か1つの生き物について取り上げると、生き物好きの子供しか面白いと感じられない本になってしまう嫌いがある。
 本当は、そんな本を作ることが一番面白いのだと思う。
 が、好みがはっきりしてくる小学校の高学年くらいが対象の本ならともかく、幼児向けの場合、やっぱり広くみんなが読める本でなければならないだろう。
 そこで、何か作戦を立てて、1種類の生き物についてその生き方を取り上げた本を作ってもらえるように色々と仕掛けていこうと思うのだが、その第一弾がこのシリーズだ。
 ○○の生態というような切り口ではなく、子供にも分りやすい親子をテーマにすることで、結果的にその生き物の生態について知ってもらえるような本にしようと僕は考えた。
 ただ、自分だけの力ではそれを試すことができそうもなかったので、新開さんに手を貸してもらい、助けてもらってシリーズが完成することになった。
 出版の場合、インターネットなどとは違っていろいろな人の意向があり、自分がやりたいことをすべてできるわけではないので、思い描いた通りにできなかった部分もある。
 が、それはそれで面白いし、今後ももっと作戦を練り、チャレンジを続けたい。

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人工物
ランチュウ

 僕は野生の生き物が好きだから、品種改良を重ねた生物にはあまり興味を持ったことがない。たとえば犬なら、日本犬のような犬らしい形をしたものが可愛いと感じるし、逆にチワワやダックスフントのような作り込まれた犬は、あまり可愛いとは感じない。
 当然、品種改良の塊である金魚にも興味を持ったことはなかったし、むしろ、人が徹底して手を加えたオゾマシイ世界だと思い込んでいたことは、以前にも書いたことがある。
 ところが、いろいろと縁あって金魚を撮影してみると、その面白さが徐々に分ってきた。僕にとっての金魚の魅力は、遺伝の不思議と品種改良にかける人の思いだ。
 だから金魚の場合、品種の特徴がよく出ているものを手に入れなければ面白くない。
 
 さて、昨年末にある方から、
「武田さんは自然が一番美しいと思うかもしれませんが、建築家には、人工物こそが美しい!って言う人が多いんですよ。」
 と言われて、ハツとさせられた。確かに、僕は自然物が一番美しいと固く信じていた。
 そして問題は、それを真理だと思い込んでいたことである。
 何かを一方的に信じ込んでいて、決まったことしか言わない人との会話は、相手にしてみればしばしば虚しい。そして、僕は自然について伝えたいことがあるのだから、相手から、会話ややり取りが虚しいと思われてはならないのである。
レンズの性能
(撮影機材の話)
 写真の画面の中のピントが合っていない部分のことを、ぼけという。そして、そのぼけの部分の描写はレンズによって異なり、ぼけ具合のことをボケ味などという。
 ぼけ味は、写真の雰囲気をかなり大きく左右する重要な要素の1つだ。だから写真家はしばしばレンズにこだわる。
 そして、
「あのレンズは、ぼけがいい。」
 とか、
「あのレンズは、ぼけが悪い。」
 などという会話が繰り広げられる。

 僕が最近主に使用しているニコンの手ぶれ防止機能付きの105ミリマクロレンズは、ボケがきれいなレンズだと言われている。
 が、いろいろな状況で使用してみると欠点もあり、ピントが合っている部分の奥のぼけ(後ぼけ)はきれいだが、手前のぼけ(前ぼけ)が随分汚い。僕が今撮影しているザリガニの写真で言うと、ザリガニの奥の水草はきれいにぼけるのに、手前の水草のぼけは汚いのである。
 そこで、他のレンズを試してみたら、タムロン社製の90ミリマクロレンズの描写がいいことが分った。今日はレンズを取り替えて、タムロンでアメリカザリガニを撮影してみた。

アメリカザリガニ 親子


 タムロン社製の90ミリレンズは、大変に評価が高いが、なるほど!と思う。
 一般に、前ボケがきれいなレンズは後ボケが汚く、後ボケがきれいなレンズは前ボケが汚いと言われているが、タムロンはそのバランスが絶妙!

アメリカザリガニ 子供


 一方、白の背景の上での標本的な写真を撮る場合、レンズのボケ味の良し悪しは全く関係ない。この手の写真の場合は、レンズが細密な描写をすることが非常に重要だが、今日はニコンの60ミリマクロレンズを試してみたら、どの100ミリクラスのレンズよりも一段シャープな描写をすることが分った。