FC2ブログ
水辺の写真家・武田晋一のホームページ 『水の贈り物』 と合わせてご覧ください。
金魚の写真の撮り方(7) 光の拡散編
_MG_9424.jpg

 もしも金魚の右側からストロボの光をあてたなら、金魚の左側に影ができる。そして強い影は時に、とても見苦しい。
 そこでその影を弱める必要があるが、その場合には、ストロボと被写体の間に拡散板 (乳白色の塩ビ板・アクリル板・トレーシングペーパーなど、色がついていない半透明の物体) を置くのがいい。
 この方法は、影をなくてしまうのではなく、影を柔らかくして心地のいい影をつける方法だ。

 影をやわらかくするためには、塩ビ板はなるべく被写体に近くストロボはなるべく塩ビ板から遠い位置に設置するのがいい。また、塩ビ板が厚ければ厚いほど、影が柔らかくなる
 だが、塩ビ板からストロボを離し、塩ビ板を厚くすると、ストロボの光が足りなくなる可能性があるので、その点は自分でいろいろと試してみる必要がある。


影が柔らかくなる理屈

 照明器具で物質を照らす場合、照明の光の部分が小さいと強い影が出る。一番典型的なのは、スポットライだ。逆に、光の部分が大きいと影が弱くなる。典型的なのは、蛍光灯である。
 スポットライトで上手に物を照らすと、ドラマチックでかっこいいが、大抵は影が強くて見苦しくなる。逆に、蛍光灯の下では、物がきれいに見える。
 ストロボの発光する部分はとても小さい。だからストロボで物を照明すると、強い影が出る。
 だがその間に乳白色の塩ビ板を置くと、ストロボの光がいったん塩ビ板を広く照らし、その広く照らされた部分が今度は被写体を照明するので、影が柔らかくなる。


影の強さの違い

_DSC9749.jpg
(拡散板あり 影はついているが、その影が心地いい)
_DSC9750.jpg
(拡散板なし 影が強くて見苦しい)

 この見本写真のカタツムリの模型は底に沈んでいるのだが、金魚の場合は沈むのではなくて少し浮いた状態になる。すると、さらに影は柔らかくなり、この見本の画像よりも、さらに心地がいいものになる。影は、背景が近ければ近いほど強くなる。


(7)に続く。 

テーマ:動物の写真 - ジャンル:写真

金魚の写真の撮り方(6) セッティング編
_MG_9240.jpg

 カメラとコードで接続したストロボを、洗面器の真上ではない位置に固定する。
 この画像ではカメラを三脚に固定してあるが、実際の金魚の撮影の際には三脚は不要。ストロボを使用するとぶれにくくなるので、三脚を使わなくてもぶれていない写真が撮れる。
 

洗面器の真上ではない位置とは

 洗面器の真上にストロボを設置すると、ストロボが発光した際の光が、水面に反射して写ってしまうことはすでに書いた。
 そこで、ストロボは洗面器の真上から少し離れた場所に設置する。
 だが、やたら滅多に離す必要はないので、最初は適当にストロボの位置を決め、実際にシャッターを押してみるのがいい。
 下の画像の右下に、白っぽい反射が見られるが、これはストロボの光が洗面器に写ったもの。水面や洗面器にこうした反射が見られる場合は、ストロボを洗面器からより遠い位置に離せばいい

_DSC8801.jpg

 さて、今日の最初の画像を見ればわかるとおり、今回はカメラの右側からストロボを光らせている。
 さらに今日の2つ目の画像を見てみると、当り前のことではあるが、カタツムリの模型の左側に影が出ている。そして、この影は少々見苦しい。
 ストロボを洗面器の真上ではない位置に設置すると、水面への反射を防げるが、代わりにこうした影がついてしまう。
 そこで次回は、この影を弱めるための方法を紹介する。

(7)に続く。 

テーマ:動物の写真 - ジャンル:写真

金魚の写真の撮り方(5) レンズ選び編

大きく写るレンズとは?


_DSC1589.jpg

上の画像のような望遠レンズを使って野鳥の写真を撮っていると、
「うわぁ~、これを使うと、大きく写るんでしょう?」
とよく聞かれる。
だが、大きく写るというのは、正しくもあり、間違えでもある。
実は、写真撮影において大きく写るには2種類ある。


望遠レンズ

確かに、望遠レンズを使うと、10メートルくらい離れていても、小鳥をそこそこ大きく写ることができる。
ところが、もっと大きく写そうとして、野鳥に近づいていくと、それ以上大きく写すことができなくなる。
ピントが合わなくなってしまうのだ。
写真用のレンズは、ある程度の距離までしか被写体に近づくことができず、その距離のことを最短撮影距離という。僕が使用している野鳥撮影用の望遠レンズなら、もっとも野鳥に近づいても、5.4mの距離までしか近づくことが出来ない。
もしも5.4mの距離からカブトムシを撮影したとすると、そのカブトムシは写真の画面の中では、かなり小さくなってしまう。
 つまり、望遠レンズとは、大きく写るは大きく写るでも、遠くから離れて撮影しても大きく写るレンズのことだ。金魚はあまり逃げないのだから、金魚の撮影に必要なのは、そうしたレンズではない。


マクロレンズ

 一方で、マクロレンズと呼ばれるレンズが存在し、一般のレンズよりも最短撮影距離が短く、被写体にグッと近づくことができる。
 被写体により近づくと、当然被写体は大きく写る。
 金魚くらいの大きさの被写体を撮影する場合は、そのマクロレンズが是非とも欲しい

 マクロレンズにも種類がある。
 たとえばニコンの場合、現在主に発売されているのは下記の3種類で、主に青色の数字の部分が問題になり、数字が大きいほど、より望遠レンズになる。

 ・AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8G ED
 ・AF-S VR Micro-Nikkor ED 105mm F2.8G (IF)
 ・Ai AF Micro-Nikkor ED 200mm F4D(IF)

 したがって、小さな生き物の撮影の中でも、逃げ足が速い生き物の撮影などでは、逃げられないように遠くから撮影しなければならず、数字が大きいより望遠のレンズを選ぶことになる。
 金魚の撮影の場合は、各メーカーの一番数字が小さなマクロレンズを買えばいいだろう。
 ただし、もしも金魚以外にも、野外で昆虫などを撮影したいと考えているなら、数字が100前後(90-105)のものがいい。
 ちなみに、僕は金魚の撮影にはニコンの60mmをよく使用する。


レンズメーカー製レンズ

 一般に、ニコンのカメラにはニコンのレンズを、キヤノンのカメラにはキヤノンのレンズを取り付けるが、それ以外に、シグマやタムロンやトキナーといったレンズ専門のメーカーがあり、それぞれのメーカーがニコンのカメラ用のレンズ、キヤノンのカメラ用のレンズといった感じで、いろいろなカメラ向けにレンズを作っている。
 マクロレンズに関して言うと、レンズメーカー製にもいいものが多いので、選択肢に入れてもいいだろうと思う。
 最近はカメラの側の事情が複雑になり、どのカメラにどのレンズを取り付けることが可能なのかが非常にややこしくなっているので、カメラとレンズを入手する際にはショップの人によくたずねてみることをお勧めしたい。
 とにかく、小さな生き物の撮影は、まずはマクロレンズを持つことから始まるのである。

(6)に続く。  

テーマ:動物の写真 - ジャンル:写真

金魚の写真の撮り方(4) ストロボ選び編
 洗面器の中の金魚の撮影にはストロボを使用し、そのストロボをコードを使ってカメラから切り離した上で、洗面器の真上ではない位置から光らせる方法が最も確実であることは、すでに書いた通り。
 ただ、ストロボはどんなものでもいいわけではないので、今回はストロボ選びの話。


ストロボ選びのポイント1


 ストロボをフルパワーで発光させた際の光の強さは、GN(ガイドナンバー)という数字で表され、大きければ大きいほど遠くまで光が届く。
 したがって、ストロボを選ぶ際にはGNが大きいに越したことはないが、一般にストロボはGNが大きいほど高価になるので、予算と相談しながら、ということになるだろう。
 デジタルカメラでの金魚の撮影には、GN20~30以上あれば十分だ。


ストロボ選びのポイント2


 ストロボの光の強さは、強過ぎると画面が真っ白になり、弱過ぎると画面が暗くなってしまう。だから、ストロボを使用する際にはその光量が適正になるようにコントロールする必要があるが、光量のコントロールの方法には、大きく分けて次の?~?の3つの方法がある。

? まずはストロボが光り、その光をカメラが感知し、カメラが光の量をコントロールする方法。当然、カメラとストロボの間での通信が必要になり、この方法は、通信機能を持ったストロボとカメラの組み合わせでしか使用できない。メーカーによってその方法の呼び名は異なるが、TTLという言葉が使用されていることが多い。

? まずはストロボが光り、その光をカメラではなくてストロボが感知し、ストロボが光の量をコントロールする方法。外光オートなどと呼ばれることが多い。外光オートは?のTTLよりも精度が悪く、TTLが普及した今では滅多に使用されなくなった。

? ストロボの発光量をあらかじめ人が決めておく、マニュアル発光と呼ばれる方法。

 水槽の中の金魚や洗面器の中の金魚のような被写体を撮影する場合は、?~?の中でも?のマニュアル発光ができるストロボを選んでおくのが手堅い。さらに、マニュアルでの発光の際に細かく光量の調節ができるものがいい。フル発光、1/2発光、1/4発光、1/8発光、1/16発光といった感じで、最低でも5段階くらいに明るさが調整可能なものが使いやすいだろう。
 なお、マニュアル発光ができても、フル発光しかできないものは、避けた方がいいだろう。
 ?のTTLでも撮影は可能だが、水槽撮影や洗面器の中の被写体の撮影のように特殊なシーンでは、意外にカメラが判断を誤ることが多く、むしろマニュアルで、手動でストロボの光の強さを決めた方が確実な場合が多い。
 
R0014300.jpg

 上の画像は、ニコンのストロボ・SB600の液晶パネルを撮影したもので、左上のMという表示はマニュアル発光に設定されていることを意味し、その隣の1/8は、ストロボの光をフルパワーの1/8の強さで光らせること意味する。

 金魚の撮影以外にもストロボを使う予定がある場合は、マニュアル発光とTTLの両方が可能なストロボを選ぶのがいいだろう。

資料


【マニュアル発光で細かな光量の調整ができ、TTLも使用できる機種の例】
 ニコンのカメラを使用する場合なら、
 ニコン スピードライトSB-900
 ニコン スピードライトSB-600
 純正にこだわらない人は、
 サンパックPZ42X(ニコン用)
 ニッシンスピードライトDi466(ニコン用)
 ニッシンスピードライトDi622(ニコン用)
 ニッシンスピードライトDi866プロ(ニコン用)
など

キヤノンのカメラを使用する場合なら、
 スピードライト580EX II
 スピードライト430EX II
 スピードライト270EX 間違えでした。
 純正にこだわらない人は、
 サンパックPZ42X(キヤノン用)
 ニッシンスピードライトDi466(キヤノン用)
 ニッシンスピードライトDi622(キヤノン用)
 ニッシンスピードライトDi866プロ(キヤノン用)
などなど。

機械のことは何が何だか分からないという人は、自分が使用しているカメラメーカー純正の中級機を選んでおけばいい。ニコンならスピードライトSB-600、キヤノンならスピードライト430EX II あたりが、バランスが取れていて手堅いだろう。

(注)上に紹介したストロボの機能については、僕の勘違いもあり得るので、マニュアル発光が可能で、光量が調節できることを必ず販売店で確認してください。

(5)に続く。

テーマ:動物の写真 - ジャンル:写真