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明暗2枚の画像を合成する(3)
2010/09/12の記事 「明暗2枚の画像を合成する(1)」
http://takedashin.blog10.fc2.com/blog-entry-298.html
2010/9/20の記事 「明暗2枚の画像を合成する(2)」
http://takedashin.blog10.fc2.com/blog-entry-299.html
の続編


_DSC0492-2.jpg
【画像-1】
 複数の画像を重ねることによって、明暗差が大きな被写体を表現する方法は、何も洞窟のような特殊な場所の撮影にだけ、役立つわけではない。
 たとえば曇りの日に撮影した風景写真の画像処理には、大変に有効な方法だ。
 曇りの日には空が白とびしやすいが、その空の白とびを防ぐことができる。

 画像-1は、鮎の簗場を撮影したもので、RAWファイルを、明部と暗部のバランスを考えつつ若干の露出の微調整をした上で、ごく普通に現像したもの。
 がしかし、空が白飛びぎみになっている。
 また、画像全体のコントラストがやや低くて切れが悪い。だからコントラストをあげたいのだが、そうすると空の白飛びがもっとひどくなる。
 そこで、例によって明暗が異なる複数の画像を、1枚のRAWファイルから作成し、それらを重ねる。

_DSC0492-1.jpg
【画像-2】
 画像-2は、より暗く現像したもの。
 合成をした際に、空の部分を使う。
 空が暗すぎるのでは?と感じる方もおられるだろうが、あえてそうしてある。

_DSC0492-3.jpg
【画像-3】
 画像-3は、より明るく現像したもの。
 合成をした際に、建物の中の部分を使う。

_DSC0492-C.jpg
【画像-4】
 フォトショップのレイヤーマスクを使って画像1~3を合成して、画像-4を作った。
 画像-1と比較すると、建物の中が明るくなりよりよく見え、空が暗くなり質感が増した。




_DSC0492-Cn.jpg
【画像-5】
 画像-5は、画像-4のコントラストを高めたもの。
 具体的には、レベル補正をしてダイナミックレンジをいっぱいに使うようにし、さらに、トーンカーブを若干S字にしてコントラストを上げる。
 これで完成。
 画像-2の空をあえて暗めに現像したのは、この仕上げの処理をするため。画像-2の空を適正な明るさにしてしまうと、仕上げにコントラストを上げた時に、空が白飛び気味になってしまう。
 または、画像-1、画像-2、画像-3を作成する段階で先にコントラストをあげておき、合成後は、何もしないという手順でもいい。
 

● その他。
 
 撮影機材 ・ NikonD700 AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX
 撮影場所 ・ 熊本県甲佐町の鮎の簗場

 なお、これらの画像の明るさやコントラストを比較する際には、まずは画像を拡大表示せせ、その画像をいったんダウンロードして、フォトショップ上で近くに表示させるなどして比較した方がいいだろう。というのも、よほどに高性能なモニターを使用していない限り、モニターの中の表示される位置によって、画像の明暗やコントラストの具合は、かなり違って見えてしまう。

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明暗2枚の画像を合成する(2)
2010/09/12(日) の記事
「明暗2枚の画像を合成する(1)」
http://takedashin.blog10.fc2.com/blog-entry-298.html
の続編



_DSC3335-2.jpg

【画像-1】
 洞窟の中から流れ出てくる神秘的な渓流。
 ただ、こうした明暗差が大きな場所は、写真の被写体としては難しい。今回の画像も、穴の内部をもっとよく見せようとすると、手前側がひどく露出オーバーになってしまう。
 さらに、画面中央よりもやや左側の白い石が目ざわりで、撮影の際にはよけておくべきだった。写真は、人の肉眼よりも明暗が極端になる傾向があり、この白い石も、撮影の段階ではそれほど目ざわりではなかったので、ありのままが良し、と放置したのだが、仕上がりを見てみると、白飛び寸前でかなり明るく写ってしまった。
 つまり、この画像の中には、より明るくしたい洞窟の奥の部分と、より暗くしたい手前の白い石の部分とが含まれている。




● そこでまず、手前の目ざわりな白い石を処理する。

_DSC3335-1.jpg
【画像-2】
 画像-1の元になったRAWデータを、-2の露出補正をした上で現像し、暗い画像を作る。

_DSC3335-C1.jpg
【画像-3】
 そして、画像-1と画像-2とをフォトショップ上で、より明るい画像が上、暗い画像(部分的に使用する方)が下になるように重ね、レイヤーマスクを使用して、白い石の部分だけが、下に重ねた暗い画像が見えるようにした。
 その結果、白い目ざわりな石が暗くなり、目ざわりではなくなった。




● 今度は、洞窟の奥を明るく見せる

_DSC3335-3.jpg
【画像-4】
 次に、暗くて見えにくい洞窟の奥が、より明るく見えるようにする。
 そのための素材として、今度は逆に、画像-1よりも明るく現像された画像-4を作成した。

_DSC3335-C2.jpg
【画像-5】
 そして、画像-3と画像-4とを、フォトショップ上で、より暗い画像が上、明るい画像(部分的に使用する方)が下になるように重ね、レイヤーマスクを使用して、洞窟の奥の暗すぎる部分だけ、下に重ねた明るい画像が見えるようにした。
 これで完成。




● 注意点とその他

 ところでみなさんは、RAW現像の際に、どの程度までの露出補正を許容範囲としておられるだろうか?
 僕の場合は、-1~+1を限界としているのだが、複数の画像を重ねる際に部分的に使用する画像に関して言えば、-2~+2程度の露出補正でもほとんどなんの問題もないし、さらに-3~+3程度の露出補正だって、耐える場合が珍しくない。
 ただし、RAWデータの段階で白飛びや黒つぶれをしている箇所はどうにもならないので、画像を重ねる場合でも、どこを捨て、どこを出したいのかを考えた上で露出を決めておなければならない。

 最後に、撮影に使用した機材は、NikonD3Xに SIGMA15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE。
 RAW現像にはSILKYPIXを使用した。

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明暗2枚の画像を合成する(1)
 カメラやソフトに付属する、どんなダイナミックレンジを広げる機能よりも、フォトショップで明暗が異なる2枚の画像を自分の手で重ねる方法の方が、確実に、高品質な画像が得られる。
 



 明暗差が大きな被写体を撮影する際に、一番高画質に仕上がる方法は、おそらく露出を変えて別々に撮影された複数の画像を重ねる方法だろう。
 だが僕の場合は、別々の画像を重ねることには抵抗があって、過去に、それを試したことはない。またその方法の場合は、全く同じ絵柄の画像を明暗を変えて最低2枚撮影しなければならないのだから、動くものには使用できない。
 一方で、複数の画像を合成するといっても、元は同じRAWデータから得られた明るさが異なる画像を重ねる方法なら、状況に応じてときどき使う。
 今回その例として取り上げるのは、来春発売予定の洞窟本の中で使用する僕のプロフィール写真だ。

 合計3枚の画像があるが、一枚目がより暗い画像、2枚目がより明るい画像、3枚目がそれら2枚を合成した画像になる。
 洞窟の中は明部と暗部とがはっきりするので、明部を表現するための画像と暗部を表現するための画像の2枚の画像の合成で事足りるが、屋外で撮影された画像を合成する場合は、明部、中間、暗部を表現するための3枚の画像を使うことが多い。

 撮影に使用した機材は、NikonD700に AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED。洞窟の入り口付近のような、主に明部と暗部のみで構成されており、中間調に相当する部分が少ない極端な明暗の被写体の場合は、硬い描写のD3Xよりも、やわらかい描写のD700の方が扱いやすい。
 同じように明暗のコントラストが強いシーンでも、中間調が存在する場合は、D3Xを使うことが多い。

 画面右からの光は、洞窟の入り口からの自然光で、画面左からの光はストロボの光だ。 
 画面の中のどこが自然光に照らされた部分、つまり洞窟の入り口で、どこが洞窟のより奥になるのかが分かるようにするために、ストロボ光は色温度を変えて自然光との区別がつくようにした。ストロボの光にはフィルターによる着色がしてある。
 
1_DSC0406.jpg
ストロボ使用 フィルター使用SILKYPIX
RAW現像時に+1補正
(拡大可 1200PX)

 1枚目の画像は、僕の顔のあたりの明るさはちょうどいいのだが、下半身が暗く潰れすぎている。
 これがただの洞窟を紹介するための写真なら、個人的には、この方がむしろ臨場感があっていいと思うが、今回はプロフィール写真なので、下半身も、輪郭くらいは見えてほしい。
 また、レリーズを握りしめた手元も、何かを握っている感じがもっとわかって欲しい。
 そこで、より明るい画像と合成することで、そのあたりを改善することにした。

2_DSC0406.jpg
RAW現像時に+2補正
(拡大可 1200PX)

 2枚目は、1枚目よりも明るく現像した画像。
 
 
Cst12857n.jpg
合成画像
(拡大可 1200PX)

 そして3枚目の画像は、先の2枚の画像を合成したものだ。
 合成の方法は、フォトショップレイヤーマスクを使う手法で、簡単に説明すると、まず最初に2枚の画像を重ね、重ねる際に上になった画像だけが見えている状態を作り、次に、その上の画像の一部をブラシツールでなぞって消せば、その部分だけは下の画像が現れ、その結果2枚の画像が合成される。
 合成の結果、僕の下半身とレリーズを握った手元やその周辺の岩の部分が明るくなった。

 レイヤーマスクの使い方は、フォトショップの本を読んで欲しい。
 初めて読む人は、おそらくそれなりに苦戦するだろうと思うが、操作方法さえ理解すれば、作業そのものはそんなに難しくはないし、それほど時間がかかるわけでもないと思う。
 また、この方法は大変に有効で、使える場面も多い。



 最後に、話の本筋からは逸れるが、この日はたくさんの写真を撮ったにもかかわらず、自分で自分を撮る緊張から、どれもカチカチにこわばった、イマイチな写真ばかりだった。
 僕も、B'sの稲葉浩志氏くらいカッコ良かったなら、少々硬い表情の画像あろうが気にせずその画像を使うと思うが、元が悪いものだから、写真のセレクトも厳しくなる。
 その中でも一番ましな画像を選んだら、今度は露出が悪くて1絞りもアンダーに。その結果、合成した暗い方の画像でもRAW現像時に+1の露出補正。明るい方の画像に至っては+2にも及ぶ極端な露出補正が必要だった。

 

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SILKYPIX・ハイライトコントローラー
SILKYPIXのハイライトコントローラーが効果的ではないシーンもある


 SILKYPIXのハイライトコントローラーの、あたかもダイナミックレンジを広げるかのような効果については、以前紹介したことがあるが、
http://takedashin.blog10.fc2.com/blog-entry-290.html
http://takedashin.blog10.fc2.com/blog-entry-291.html
 今回はその逆に、ハイライトコントローラーが有効ではなかったシーンを紹介しておこうと思う。
下の2枚の画像は、同一のRAWデータから得られたもので、上がハイライトコントローラーを未使用、下が使用したもの。雲のハイライトの描写を問題にする。

 今回の画像は、画面右側からの強い光で白い雲の右側が飛び気味だが、かといってこれ以上露出を切り詰めると、他が暗くなり過ぎてしまうし、そうして暗く写り過ぎた部分を画像処理で明るく持ち上げようとしても、画質が悪くなってしまう。

 そこで、暗部がつぶれすぎないギリギリの明るさに撮っておき、RAW現像時にSILKYPIXのハイライトコントローラーを使用して、可能な限り白飛びを抑えようとしたのだが、このシーンに関しては、むしろ結果は悪くなってしまった。
ハイライトコントローラーを使用すると、確かにハイライトの白飛びは多少押さえられるのだが、その結果、雲の コントラストが弱くなり質感描写が悪くなり、パッと見、逆に白が完全に飛んでしまったかのように見えてしまうのだ。

1_DSC3059.jpg
NikonD3X AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF) SILKYPIX
ハイライトコントローラー未使用
2_DSC3059.jpg
NikonD3X AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF) SILKYPIX
ハイライトコントローラー使用

 つまり、本当にダイナミックレンジが広いのと、部分的にコントラストを弱めて見かけのダイナミックレンジを広くしたのとは別のことであり、見せかけのダイナミックレンジの広さではごまかせないシーンもある。

 そういえば、あるレンズを取り付けると、デフォルトの状態でも周辺光量補正が働くのだとメーカーの方から聞いたことがある。
どこのメーカーのどのレンズかは、書くことができない。というのも、それは僕にとって初耳だったのだが、いろいろと探してみてもどこにも書かれておらず、おそらく公表されていないことであり、公表してはならないのだろうから。
 ともあれ、最近のデジタルカメラの場合、デフォルトの状態でも、多少なりとも何らかの画像処理がほどこされているだろうし、その中には、ダイナミックレンジを広げたように見せる処理も含まれているに違いない。
 だが、そうして見せかけのダイナミックレンジを広げたのと、本当にダイナミックレンジが広がったのとは別のことであり、テストチャートを撮影した場合には広いダイナミックレンジを示すカメラが、実写では、ダイナミック レンジの狭いカメラであるかのように感じられることもあるし、デジタルカメラの性能は、実写で使ってみなければわらかない。
 ダイナミックレンジに関して言えば、一般的に言うと、画素ピッチが大きなカメラの方が、実写ではやはり優れているように思う。
 最近はさまざまなテストチャートを使用して得られたデータが広く知れ渡っており、そのデータを信じ込んでおられる耳年増な方が少なくないが、チャートによるテストなんて、ほんの参考にしかならないことを知っておいた方がいい。

 SILKYPIXのハイライトコントローラーに関して言えば、明部と暗部とにきっちり別れた画像の明部の白飛びを防ぎたい場合には効果があるが、今回の画像のように、白の中で白を表現したいようなケースでは、逆効果になる場合が多いように感じる。


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