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水辺の写真家・武田晋一のホームページ 『水の贈り物』 と合わせてご覧ください。
線の描写、丸みの描写
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 僕が初めて買ったデジタル一眼レフはペンタックスだったので、自然な流れで一緒に購入したのが、今日の画像のFA100マクロだ。
 このレンズで花を自然光で撮影してみたら、あまりに素晴らしい描写をするので一撃で痺れてしまった。丸みの描写が実に見事で、僕の常識を超えたものだった。
 ところが、昆虫の撮影の際に、前からのストロボを当てると、一転して眠たい描写になりがっかりさせられた。
 前回の記事で、デジタルカメラの描写には線の描写に適した絵作りと丸みの描写に適した絵作りとがあり、それらは時として相反することを書いたが、レンズにも、同じことが言える。
 このレンズは、特に丸みの描写にこだわったレンズなのだと思う。

 ニコンとキヤノンを比較すると、デジタルカメラの画質だけでなくレンズも、ニコンは線が良く写り、キヤノンは丸みが良く写る傾向がある。とは言え、キヤノンは、報道~自然写真までたくさんのユーザーを抱えたメーカーであり、万能であることが求めらるだろうし、いくら丸みを重視していると言っても線もある程度写り、一言で言えばバランスがいい。
 その点、このレンズの丸みの写り方は、偏っていると言っても過言では無さそうな具合で、その偏り具合に小さなメーカーならばでの魅力がある。
 
 ふと思い出したのは、随分前の、やはりペンタックスの100ミリ等倍マクロレンズのこと(古いカタログがないので正式な名称はわかりません)。
 人によって評価が大きく分かれるレンズであり、ある人は絶賛し、またある人は、あんなひどいレンズは初めてだと言った。
 僕は、そのレンズを使ったことはないが、おそらくFA100マクロと同じようなコンセプトのレンズだったのではなかろうか?
 実は、今、僕はペンタックスのボディーを持っていないが、このレンズの丸みの描写の見事さには未練があり、レンズだけは持ち続けている。

 もしも写真が仕事ではないのなら、おそらく僕はペンタックスのカメラを使うのではないかと思う。
 仕事の場合、何を撮らせられるか分からないのでシステムの拡張性が、またどんな場所に行かなければならないかもわからないので耐久性も重要になる。そうなると、どうしてもニコンかキヤノンになる。
 一方で、ペンタックスやオリンパスには、個性という魅力がある。

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キヤノンの画質、ニコンの画質
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 プリンターで白い紙に打ち出した文字を、スキャナーで取り込んだ。さて、この文字をよりくっきりと見せるにはどうしたらいいだろうか?
 
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 答えは、白い部分をより白く、黒い部分をより黒くして、白黒はっきりさせること。そうすれば、文字は鮮明に、画像ならシャープに見える。
 
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 だが注意しなければらないのは、逆に白黒はっきりさせることによって、損なわれてしまうタイプの被写体もある。たとえば、白いピンポン球がそうだ。ピンポン玉の丸みは、白が陰に向かうにつれて少しずつ暗くなり灰色に近づくことによって表現されているのであり、その灰色を白黒はっきりさせてしまうと丸みが感じられなくなってしまう。
 ピンポン球はほんの一例であり、球や水やゼリー状のものなど、はっきりした輪郭を持たない被写体は、濃淡で表わさなければならないのだから、白黒をはっきりさせ過ぎると、描写が悪くなる。

 つまり写真の被写体には、白黒をはっきりさせた方がよく写る被写体と、白黒をはっきりさせない方がよく写る被写体とがある。一般に、輪郭がくっきりした被写体は、白黒をはっきりさせた方がよく、輪郭があいまいな被写体は、白黒をはっきりさせ過ぎない方がいい。
 ニコンデジタルとイオスデジタルとの比較では、ニコンは白黒をはっきりさせる傾向が、キヤノンははっきりさせない傾向があり、ニコンは線がよく写るし、キヤノンは丸みがよく写る。線を重視する人には、キヤノンの描写は眠たく感じられ、丸みを重視する人にはニコンは平坦に感じられることだろう。
 

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 以前にも紹介したことがあるテストだが、左がキヤノンEOS5D、右がニコンD700だ。いずれもRAWで撮影し、キヤノンの方はDPPで、ニコンの方はNX2で処理をした。その後、フォトショップでヒストグラムを見ながら、ハイライトとシャドーがだいたい同じになるようにレベル補正を施した。
 この画像に関しては、ちょくちょく質問を受けるので、改めてまとめて書いておこう。
 キヤノンの方が球が丸く感じれ、ニコンの方が平面的に見える。

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 こちらも以前紹介したことがあるが、左がキヤノンEOS5D、右がニコンD700だ。いずれもRAWで撮影し、キヤノンの方はDPPで、ニコンの方はNX2で処理をした。その後、フォトショップでヒストグラムを見ながら、ハイライトとシャドーがだいたい同じになるようにレベル補正を施した。レンズは、ともにCarl Zeiss Distagon T* 2.8/25mm ZFで、EOSにはアダプターを介して取り付けてある。
 キヤノンの方が、砂浜の上の足跡がたくさんあるように見えるが、これは砂浜の上の足跡の丸みの描写が、EOSの方がいいからだ。
 他にも自然写真では、木の丸みとか葉っぱの丸みなどは、キヤノンのカメラの方がよく描写する。したがって、森の写真などを撮ると、イオスの方が立体的に見える。

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 ただし、ニコンとキヤノンの描写の違いは、カメラそのものの違いではなくてソフトの違いなので、ソフトを変えれば描写も変わる。画像はともにニコンD700だが、左がシルキーピクス、右がNX2による処理。
 シルキーピクスは、丸みを重視した画像処理なので、砂浜の上の足跡が大変によく写る(シルキーピクスの方だけシャープを解除するのを忘れてしまったのだが、それを加味しても、違いすぎるくらいの差があることがわかる)。
 同じ画像だとは思えないでしょう?これらの砂浜の画像を見れば、自然写真における丸みの描写の重要性がおわかりになるのではなかろうか。
 メカはニコン、ソフトはキヤノンがいいと感じている人は、ニコンのカメラでシルキーピクスを試してみる価値はあると思う。シルキーピクスの設定は、ほぼデフォルトのまま。自然写真を撮る人の場合は、色だけ、記憶色を選択すればいいだろう。
 
 一方で、昆虫の模様などを、図鑑的にわかりやすく写し撮るには、ニコンのような線をはっきりさせる描写が適する。特に、色出しのためのストロボを前から当てた場合に、それが顕著になる。
 前からストロボを当てると、被写体の明暗が失われてしまう。すると、明暗の違いを大切にして丸みで描写をするEOSのようなカメラでは、眠たい画像になる。

 機材は、適材適所で使いたい。
 アマチュアの人の場合は、自分が好きなパターンの写真しか撮らないので、言うならばある特定の条件でのみ写真を撮っている場合が多い。つまり、その特定のケースにあった機材を選び、それを徹底的に使うことが大切になる。
 一方で写真を仕事にすると、いろいろなものを撮らされるし、さらにこんな風に撮れと指定されるケースが多々あり、多様なシーンに対応しなければならなず、ある条件では良かった機材が、別の条件では全くダメなどという体験をすることになる。

 

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OLYMPUS PEN Lite E-PL1s ピント合わせ編
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OLYMPUS PEN Lite E-PL1s M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 Ⅱ

 AF方式で、S-AF+MFを選択しておけば、AFでピントを合わせた後、MFでピントの位置を修正できる。さらにMFアシストをONにしておけば、MFでピントリングを回した瞬間に、AFでピントを合わせた箇所が拡大され、MF操作後にシャッターを押そうか、というくらいのタイミングで拡大が解除される。

 さっそく、テントウムシを画面の中に小さく収めてそこにピントを合わせてみたが、MFアシストを使えば、どんな優れた光学ファインダーよりも厳密なピント合わせができるだろう。ミラーレスのカメラの可能性を感じる。
 僕は、それほどピントに苦労する方ではないが、この手の丸みがある昆虫の引いた写真などは、ピント合わせが難しく、あとで画像を拡大してみたらピンが悪い、というケースがよくある。
 
 また、カメラを構えた際に親指のあたりに位置するボタンを押しても、AFでピントを合わせた箇所の拡大ができる。その場合は、拡大を解除するには、再度同じボタンを押す必要があり、拡大した状態を長い時間保持したい場合に適する。MFアシストと上手く使い分ければいいだろう。
 ただ、この拡大ボタンを使用すると、MFアシストが急に反応しなくなることがあり、おそらくバグだと思う。

 問題は、画像の一部を拡大して厳密なピント合わせをするやり方では、動体には対応ができないことだ。
 その前に、E-PL1sは一眼レフと比較するとすべての面でタイムラグが大きく、そもそも動体向きではない、と言える。もしも一瞬にこだわるのなら、一眼レフをお勧めする。

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OLYMPUS PEN Lite E-PL1s 第一印象編
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OLYMPUS PEN Lite E-PL1s M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 Ⅱ

 取材の時に常に胸にぶら下げておいてスナップ写真を撮る。そんな目的で購入したカメラ。本の制作中に物語を構成していく上で、そんな写真が必要になるケースが相次いので一台買ってみた。
 ソニーのミラーレスよりもE-PL1sを選んだ理由は、レンズを含めたサイズが小さいこと。常に胸にぶら下げておくのなら、可能な限り小さい方がいい。それから外付けのファインダーがあること。厳密なフレーミングをしたい時にはファインダーをのぞいた方がいい。
 パナソニックとの比較では、その外付けのファインダーの性能がいいこと。そしてデザイン。パナソニックがおしゃれな家電なら、E-PL1sはおしゃれなカメラという感じだ。常に持ち歩くのなら、持ち歩きたくなるような愛着の湧く作りであってほしい。もちろん、デザインは好みによるところが大きい。

 画質は、Eシリーズにも言えることだが、良くも悪くもデジタルカメラという印象を受ける。
 ニコンやキヤノンと比べると物の輪郭がシャープによく写り、画像を小さく印刷するケースには適していると思う。
 その反面、諧調が悪くて、丸いものの丸みとか、ものの質感描写は一段落ちる。また、白飛び、黒つぶれしやすいが、ぱっと見それを感じさせない上手い画像処理が施してある。いかにもデジタル時代の画像処理は、ニコンやキヤノンよりもオリンパスが上手いのではないかと思う。あえて小さなセンサーを採用したメーカーの覚悟というか、開き直りみたいなものが感じられる。
 レタッチ耐性は、35ミリ判フルサイズセンサーのカメラを使い慣れた僕には悪く、このカメラに限らずオリンパスを使いこなす上で一番大切な点は、ちゃんと適正露出で撮影することだ。
 したがって撮って出しに近い形で使うカメラなのだろうが、RAW現像ソフトはあまりにお粗末過ぎる。遅いし、操作性も悪い。

 ただし、それらの画質の話はあくまでもニコンやキヤノンのより大きなセンサーを搭載したカメラとの比較であり、RICHO GX200あたりに比べると格段に画質はよく、35ミリ判換算で600ミリ相当のレンズまで揃えたって大した重さではないことを思うと、このカメラにはワクワクさせられるものがある。
 つまり、小難しい顔をして画像をいじりたい人にはお勧めしないが、とにかく写真を楽しみたい人にはお勧めです。
 
 

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